風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『海の見える理髪店』  荻原 浩

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六つの心に沁みる短編集。
「海の見える理髪店」が第155回直木賞受賞


直木賞受賞作のタイトルに引かれて読んだ作品でしたが
他の作品も短編ながらも背景や刻んだ日々に想像が膨らむ作品でした。

「海の見える理髪店」

床屋の主人は腕のある主人でありるものの
家庭を持つ人間としてはどこか頼りなく独りよがり。

そんな主人と客の髪を切る時間での語り
哀愁のある人生とは積み重ねでしか
築くことは出来ないものですね。

「いつか来た道」

母親との確執から時が過ぎ
いつしか一人の人として向き合う姿に
いつの日にか。切り替わる瞬間って誰しも経験するのかな。
いつか来た道なんだと、しみじみ感じるな・・最近。

「遠くから来た手紙」
携帯に不思議に届く手紙
なるほどなぁー。

世界にひとつしかないアドレス
そこで繋がる不思議なツールですよね。
誰かの心が時空を超えて届くって考えると素敵ですよね。


「空は今日もスカイ」

孤独は人を成長させると言いますが
幼き頃、近くでも川を超え山を越えると
必死に自分の心と戦うんですよね。
それを乗り越えた日
いつもの空はきっと違った空に変わったんじゃないだろう。

「時のない時計」

価値のあるものとないもの
それは誰が判断するのだろうか?
時計に限らず、それは自分との関係性にあるのではないでしょうか?
あらゆることと
いい関係を築いてるのだろうか?

「成人式」
ずしんと心に来た作品でした。
人は時を経て薄れゆく記憶

時が癒せない記憶に絡まった人の心を解すには切っ掛けが必要なのですね。
そこに必要なのは勇気が未来へ繋がる。

それぞれ人生に哀愁ある作品群
日々の暮らしに
心に耳を澄ましたくなる短編集でした。