彼はその後、志賀直哉の下で小説家となる
弟子から見た師の生涯を丹念に書いたもので
これは阿川弘之にしか書けないものですねぇ。
この本の中に出て来る大御所達は今や歴史上の人物ですよね
白樺派の仲間達、門下の人々や交友があった人々
書いた弟子の阿川弘之ですら大御所ですけど・・
それぞれの時代背景、思い、志賀直哉の息遣いまで
聞こえて来そうな雰囲気は
傍に居た人間ならではの表現力。
最後の葬式での話しまで書いてあり
歴史上の一人ではなく
人間、志賀直哉を感じますね。
人の生涯の不思議さってのは
主人公の生き方のみで成り立たないもの
奥さんや弟子、兄弟や親の思いが加わり
深みのある志賀直哉が浮き出て来ます。
作品も芸術ですけど
本人の人生も芸術の一つですよねぇ。
ちなみに「志賀直哉」で阿川弘之は
野間文芸賞および毎日出版文化賞を受賞したそうです。
なるほど・・。