
徳島の海辺の小さな町で、ウミガメの卵を孵化させ育てようとする少女の話や
年老いた父親のために偽る話・・
土を探すカメラマンの男。
長崎の空き家で、謎の岩石やガラス製品を発見した若手公務員。
山奥で、ニホンオオカミに出会った女性。
全五篇の短編集。
海という大きな存在を背景にしながら
地方の小さな町でそこに関わる人々の想いや歴史が
静かな波のように何度も心に打ち寄せてくる。
ノスタルジーだけではなく
そこには科学的な視点もあり心に刺さる。
カメが長い時間を掛けて旅する
その間に紡がれてきたもの
人は何を残し、何を引き継いでいくのか
自分の想いとも重なるなぁ。
日々の忙しさの中で忘れがちな
大切な何かを思い出させ
心は穏やかな海辺に立つ一冊。