風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『何者』 朝井リョウ

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就活する仲間、拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良。
それぞれの現実の就活大学生をリアルに描く。
148回直木賞を受賞作品。


今時の就職活動ってこんなにシビアな世界なのかー
バブル名残世代には圧倒される現実だ。
作者の朝井リョウさんも
大学時代に作家デビューしましたが就職活動を行って会社員となってるし
これが現実の就職活動の話なんだろう。
職場の人の息子さんも
国立大学在学でありながら
就職が決まらず・・困ってた話を聞いたりしたことがあるな

自分を振り返ると就職してから
現実の社会に打ちのめされた気がしますが
今はその社会に入る前に立ちはだかる壁。
今まではペーパーで予測された偏差値で
合否がほぼ正確に予測され
傾向と対策、攻略に一丸となってがんばれた学生生活とは違い
この就職ってものはそれが通用しない
一人の一発勝負。

登場人物それぞれのように
背負ったものを抱え
試行錯誤しながらチャンスに挑む姿。
時には俺は人と違うんだって
俯瞰した世界から人事のように感じたり
魂売るのかって上から目線で接したりと
タイトルにある「何者」なのか?
自らを省みる行為と自分が試される試練でもありましたね。

主人公、拓人にすっかり同化してて
ラスト、理香の爆発、猛攻に心が締め付けられて
心拍数が派手に上昇しましたけど・・。

情報やツールが進み
TwitterFacebookなどのSNSが日常となると
また違った形でコミニュケーションが普通にあるけども
やはり大事な根本は人の心にあるものと向き合うことですもんね。
どんなに取り繕っても
結局は人そのものが鍵となり勝負となるのだから・・。

時代は変われどもリアルワールドは人間力
温室育ちの現代
人間力を育てる密度のある人間関係って築き難いかも知れないけど
この物語のように
本気で挑み、壊れるかも知れないけど批判出来る関係
それがあってこそ世界は変わる。