風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『猫を処方いたします。』 石田祥

京都市にある心療内科「中京こころのびょういん」。
ここを訪れる心の不調を抱えた患者たちに処方されるのは、薬ではなく――本物の猫。
猫を“服薬”する、少し不思議でやさしい物語。
第11回京都本大賞受賞作品です。
 
仕事に疲れ切った人、人生の選択に迷う人、
誰にも打ち明けられない孤独を抱えた人たち。
そんな彼らの生活に、猫は静かに入り込み、共に暮らし始めます。
 
確かに癒やしはある。
けれど、猫は人を慰めるために存在しているわけではない。
気ままで、思い通りにならないその姿が、
無理を重ねてきた人間に
「そのままでいい」と、言葉ではなく態度で教えてくれるのです。
 
気に掛ける存在と共に暮らすこと。
そこに生まれるのは、自己中心ではない、
誰かを思う大切な気持ち。
 
そして、胸の奥にそっと残る、
小さな温もり。