風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『紙の月』 角田 光代

イメージ 1

わかば銀行から横領した女。
なぜなのか?梨花は・・。
第25回柴田錬三郎賞受賞作。


映画を先に観て良かったので原作を読んでみました。
映画レビュー:『紙の月』
http://blogs.yahoo.co.jp/gogo_yellow_bicycle/63476327.html



映画とは細かな展開が違い

映画ではエンディングの後も描かれてて
映像では伝え難い背景や心の描写が原作にはあり
映画観ててもより面白く読めました。


さて、内容は・・。

人が落ちて行く様は何となく分からないでもないなぁ

自分を正当化して出来ない根拠
やらない根拠を自分自身を正当化したりして耳の痛い所。


読んでると1億の横領なんてありえないなんてことなく
ありえると迫る心理圧迫と、いつか露見して終わる恐怖。



何だかわかるなぁー
早く見つけてくれって、それ!

主人公とは別に同級生の生活と疲れ

壊れかけた家族の関係もまた立体的に描かれてて
自分とも繋がるような圧迫はさすが
映画化されてドラマ化もされてる原作だけあるな。


現実のニュースでも
どんな関係にも亀裂を齎す金と言う魔物。

金の恐ろしい見えない闇が
実は可能性のあるものとして生活の背後にある。

映画では描かれてなかった最後のシーンの呟きが印象的。
何かに救いを求めたい。
いや、落ちて行く甘美に身を沈めたい。
複雑な心理が沸き上がります。