風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

#小説

『さようなら、オレンジ』 岩城けい   この国の豊かさをしみじみ感じる。

アフリカ難民サリマは働きつつ子どもを育てている。 英語の読み書きのままならない彼女は英語を学びはじめる。 そこで日本人女性「ハリネズミ」と出会い・・・。 メディアで話題になってて気になってた作品 Webで調べるとー数々の受賞してるんですね。 ちな…

『恋歌』 朝井 まかて 激動な幕末に凛とした生き方

主人公、中島歌子は樋口一葉の歌の師匠であり 幕末には天狗党の林忠左衛門に嫁いで水戸へ 歌子は夫と引き離され、自らも投獄された過去を持つー 明治の世に歌塾「萩の舎」を主宰。 本屋が選ぶ時代小説大賞2013を受賞 2014年第150回直木賞を受賞作品。 全く知…

『満願』 米澤 穂信   事実を逃れる為の恐怖が心理を揺り動かす。

数々のランキングや賞にエントリーされて 注目されてた本で気になって読んでみました。 調べて見るとこんなに栄誉に・・。 第27回山本周五郎賞受賞 2015年版「このミステリーがすごい! 」第1位 2014「週刊文春ミステリーベスト10」 第1位 2015年版「ミステリ…

『長恨歌―不夜城完結編』 馳 星周   真剣な”もがき”が人には必要なんだ

劉健一あの男は歌舞伎町でどう生きるのか? 憎悪と恐怖、野心と挫折 この世界に終止符を打つのは誰で何があるのか?衝撃の終幕。 一作目の『不夜城』 http://blogs.yahoo.co.jp/gogo_yellow_bicycle/62664285.html 続編となる『鎮魂歌(レクイエム)―不夜城〈2…

『首折り男のための協奏曲』 伊坂幸太郎  さっきまで同じもの見てたのに視点を変えると違って見えるものですねぇ

全く別に書かれた話を繋げた短編集なのですが それだけじゃない伊坂ワールド。 いつもの伊坂さんの長編では 伏線張りまくりで大仕掛けを期待しつつ いつか繋がるがるんだろうなぁ~何て思ってたので あれ?あれれって 別の短編に名前は出てくるけど 話として…

『短編を七つ、書いた順』 片岡義男  日常の美しくもあるシーンは今も健在

日常の中のシーンを絵のように表現した片岡ワールド健在 40周年、7編の短編集。 片岡義男と聞くと切なく懐かしい 高校時代に片岡義男の世界に憧れて 単車に乗り始め 大学時代はあちこちを単車で旅した。 その原点は片岡義男の描く世界があったからなんだ…

『怒り(上)』 『怒り(下)』 吉田 修一

惨殺現場に残された「怒」の血文字。 逃亡を続ける犯人はどこにいるのか? 房総の漁港で暮らす親子の前に現れた男。 ゲイの優馬は新宿のサウナで出会った男。 母と沖縄の離島へ引っ越した女子高生と知り合った男。 それぞれに前歴不詳の3人の男の真相と顛末と…

『青天の霹靂』 劇団ひとり

映画化された『青天の霹靂』原作を呼んでみました。 場末のマジックバーからで芸を披露する芸人、三十五歳の晴夫。 晴夫の運命に閃く雷のような電話が・・。 場末のバーで売れない芸人の滑るギャグ どうも劇団ひとりのイメージがダブルんですよね。 他にもあ…

『こうしてお前は彼女にフラれる』  ジュノ・ディアス

浮気男ユニオールが性懲りもなく繰り広げる9つの物語。 アメリカで大ヒット作『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』の著者による最新刊 客観的に見ると馬鹿げてる男の浮気 大事な人を失うことになるのに そんな最悪の状態は意識の外・・。 どうなのかな? 子…

『火口のふたり』 白石 一文

離婚をし借金を抱え故郷に帰る主人公賢治 故郷、福岡で挙式までの五日間、欲情に身を任せる直子。 出口の見えない、男と女の行き着く先とは? 過去の離婚、失職、破産の危機 自分の招いたこととは言え 元カノと限定された限りある間、性に溺れる 切欠さえあれ…

『幸福な生活』 百田 尚樹

映画化されて話題になってる「永遠の0」の原作者 百田尚樹さんの最新刊を楽しみに読みました。 この『幸福な生活』ですが これもまたエンターテイメントに優れたすばらしい18編の短編集で 何がすばらしいかと言うとー オチなんですよね。 どの作品も身も凍…

『55歳からのハローライフ』 村上 龍

いろいろと村上龍さんの作品を読んで来ましたが いつもと違う感じのタッチの中編作品集。 タイトルと象徴的な言葉を紹介すると ”結婚相談所” 「人生でもっとも恐ろしいのは、後悔とともに生きること」 ”空を飛ぶ夢をもう一度” 「生きてさえいれば、またいつ…

『愛に乱暴』 吉田修一

夫が愛人をつくって離婚を言い出し結婚生活に暗雲が・・ 嘗ては妻である桃子も愛人をして略奪婚をしたのたが・・。 話をより巧みに浮かび上がらせるのが この凝った構成にあるんですよね。 途中まで相手の愛人の日記かと思えば・・ 桃子自身の過去の日記と現…

『キアズマ』 近藤 史恵

「サクリファイス」シリーズの最新作となる四作目。 大学自転車部を舞台に新たな展開と主人公も新たな人物、正樹。 彼らの人生が疾走する・・。 このシリーズに外れなしに面白い。 自転車乗りならば誰もが共感するだろう走る描写と心理状況。 走るシーンも確…

『家日和』 奥田英朗

タイトルのイメージ通りの 家庭のちょっとしたあたたかい”間”を描く傑作短編集。 第20回柴田錬三郎賞受賞作。 少し前に読んだ辻村さんの『鍵のない夢を見る』は 日々の生活にあるちょっとした”闇”を描いてましたが 『鍵のない夢を見る』 辻村 深月 http://bl…

『悪の教典 上/下』 貴志祐介

タイトルからイメージ出来るままの 教師の仮面をかぶったモンスター蓮見聖司が殺しまくるサイコホラー作品。 この分厚い分量に最初引きましたが そんな長くは感じないくらいの本で 何故感じないのか?って言うと 次々と息つく暇もなく事件を繰り返す下衆なク…

『何者』 朝井リョウ

就活する仲間、拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良。 それぞれの現実の就活大学生をリアルに描く。 148回直木賞を受賞作品。 今時の就職活動ってこんなにシビアな世界なのかー バブル名残世代には圧倒される現実だ。 作者の朝井リョウさんも 大学時代に作家デビ…

『残り全部バケーション』  伊坂幸太郎

ひょんなことから、家族解散前になる家族と 見知らぬ組織を辞めようとする男とドライブすることになる 五章構成の連作集。 作家の名前見なくても作品読めば伊坂さんと分かる 巧みな構成で話が交錯しながらも 見事に結実する伊坂さんの真骨頂スタイル。 読ん…

『冥土めぐり』 鹿島田真希

『冥土めぐり』と『99の接吻』二編 いずれも家族への呪縛を描いてます。 過去に執着する母の呪縛から逃れられない主人公 何とも重く澱んだ世界なんですが 少なからず自分にも血の繋がった逃れられない 宿命みたいなものを感じることがあるな・・。 それを…

『ノエル: a story of stories』 道尾秀介

「光の箱」「暗がりの子供」「物語の夕暮れ」「四つのエピローグ」 タイトルの”ノエル”そうだな そうか神様からの贈り物なのかな? 4つの物語が繋がり交差し浮かび上がる人の輪郭。 イジメにあう中学生が物語りを綴り 支えとなる弥生と出会う やがて作家に…

『ジェノサイド』 高野和明

研人のもとに死んだ父からのメールが届き 一方、傭兵・イエーガーはコンゴ潜入の任務を引き受ける。 二人の人生が交錯し人類の未来に関係する事実が・・。 壮大なスケールにワクワクとしながらページを捲りました。 昔から思ってたんですが 地球上の最終進化…

『この本が、世界に存在することに』 角田光代

本をめぐる短編を収録。 収録作品はー。 ・学生時代に手放した本と、異国の古本屋でめぐりあう。 「旅する本」 ・子どもの頃のぼくにとって、ここは世界への扉だった。 「ミツザワ書店」 ・おばあちゃんが欲しい本を探し、私は今日も本屋をめぐる。 「さがし…

『KAGEROU』 齋藤智裕

”かげろう”のようなに人生を閉じようとする男がある協会の男と契約を結ぶ 主人公ヤスオは臓器提供しその報酬を田舎の両親に送ろうとするのだが…。 話題になりましたよねぇ この本、著者が俳優の水嶋ヒロで 第5回ポプラ社小説大賞受賞作なんで 出来レースやゴ…

『謎解きはディナーのあとで』 東川篤哉

企業グループの令嬢でりながら刑事の宝生麗子が事件を解決する ミステリーとユーモアに富んだ作品。 文庫も売れてるんですねぇ~ なるほどーキャラが立ってて、執事の・影山との軽快で爽快な掛け合い おなじみの台詞 「お嬢様の目は節穴でございますか?」や …

『きれぎれ』 町田康

破滅的な男の空想と現実の行き来。 文章が激しく空想と自虐の世界へ飛んで行き 激しい言葉の連続は音楽で言えばパンクだなぁーこれって・・。 別に感想を例えるならば・・ エキセントリックな絵を連続して見たような疲労と放心って感じ・・? 意味なんてない…

『十字架』 重松清

あいつの自殺から二十年。 遺書で親友と名指しをされた主人公と片思いで謝られた彼女、いじめしてた二人 遺書には四人の同級生の名前が書かれていた・・。 第44回(2010年) 吉川英治文学賞受賞作品。 私の学生の頃 小中では”いじめ”があったなぁ どちらにも…

「オー!ファーザー 」 伊坂幸太郎

伊坂幸太郎さんらしく 伏線が交差して結実するお話は読書後のカタルシスがあります。 あとがきに書いてたけど 新聞に連載されてたそうですね それでちょっとラストを急ぎ過ぎたかな・・。 さて、内容ですがー 4人の父親って設定でそんな生活は一見 混沌とし…

『偉大なる、しゅららぼん』 万城目学

2012年本屋大賞発表発されてましたね。 この『偉大なる、しゅららぼん』は9位だった様子。 さて、お話は不思議な能力を持つ主人公、涼介と宿敵、棗家や 謎の能力者との駆け引きに歴史を絡めて・・ 万城目さんの作品って奇想天外な話なのに コミックを読むが…

『輝ける闇』 開高健

ベトナム戦争へ取材に赴いた主人公が大規模な銃撃戦に巻き込まれていく・・。 勇ましい作品が多い中 どこまでもエグイぐらいの描写はリアルで匂いや湿気まで漂って来そうな作品 最近のハイテク兵器は無人でアメリカ本土から操作して爆撃すると聞きますけど …

『ふがいない僕は空を見た』 窪美澄

コスプレにイジメ、不倫に同性愛など 衝撃的で刺激的な内容だけど 違和感もなく自然な話として心を掴む。 大事なのはそこに書かれてるハートなんですよね。 ”セクシャリティ”ってのは どこで生まれるのか?不思議だけど そんな性を望まなくとも それを持ち生…