風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

#小説

『人間』  又吉直樹

永山はメールを切っ掛けに若かりし頃「ハウス」と言われる共同住居でともに創作し芸術を志す若者と暮らした日々が甦る。そこでの生活と今では・・。登場人物全てにメディアで語る又吉さん自身の話とダブったり太宰の「人間失格」の話が出て来るのですがこれ…

「月の光(ルナティック)」 花村 萬月

ライターでバイクを愛するジョー知人を救出するため謎の信者集団に潜入するが・・。元私もオートバイに乗って旅するライダーで読んでて単車が出て描かれることが心地良かったものの物語は胡散臭い宗教団体と潜入し人生もストーリーも思い通りにならない道の…

『どうしても生きてる』 朝井 リョウ

人生の重さを背負い生きる人達『健やかな論理』『流転』『七分二十四秒目へ』『風が吹いたとて』『そんなの痛いに決まってる』『籤』6編の短編集朝井リョウさんは『桐島、部活やめるってよ』で華々しくデビューし久々にフレッシュな人出て来たなと作品はほぼ…

『生まれる森』 島本 理生

恋人との別れから立ち直れない日々そんな主人公にと同級生キクちゃんや家族、バイト先の人々終わった恋をとの葛藤の日々からの再生の物語。初めて島本理生さんを読んだのですが素晴らし感性と表現力ですね。自分も嘗てあったような失恋で苦い思い出となった…

『いるいないみらい』 窪 美澄

望む未来と要らないかも知れない未来に揺れる想い夫婦の快適な生活から妹の出産で子供への意識の変わる彼:「1DKとメロンパン」妊活とを始めて焦る夫婦、夫は:「無花果のレジデンス」。独身の茂斗子はマンションで子どもと:「私は子どもが大嫌い」そんな日…

『犯罪小説集』 吉田 修一

日々のニュースに留まることなく流れる事件どこかで聞いたことのあるようなニュースの背景や人を描く五つの犯罪にまつわる小説が収録された短編集。対岸の火事ようなどこか向こうの世界がリアルに迫り避けがたい流れを巧みに小説にする姿は流石の吉田修一作…

『すべてがFになる』 森 博嗣

孤島の研究所で天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋から両手両足を切断された死体を発見され島を訪れていた助教授・犀川創平と学生・西之園萌絵がこの謎に挑む。そそられるタイトルに惹かれ読んでみたんですが博士らしいトリックは時が経た今でも色褪せな…

『百の夜は跳ねて』 古市 憲寿

窓ふきを生業とする青年とタワーマンションに住む裕福な老婆の交流世代や立場を超えての交流の先に・・。第161回芥川賞候補作。時代に流されて何となく仮の暮らしと思ってた仕事のままって現実に多くありそうですね。私もこんな会社いつか辞めてやると思いな…

『シーソーモンスター』 伊坂 幸太郎

出会ってはいけない二人、海の者と山の者が出会ったとき運命は動き出す。時代を超えて「シーソーモンスター」、「スピンモンスター」、2篇の物語。嫁姑の争いに世界は東西に南北問題と・・。歴史は二大勢力のシーソーゲームですね。昔から世の中には犬猿の仲…

『父と私の桜尾通り商店街』 今村 夏子

桜尾通り商店街で店じまい寸前のパン屋を営む父と娘の予想外の展開に向かう「父と私の桜尾通り商店街」「白いセーター」「ルルちゃん」「ひょうたんの精」「せとのママの誕生日」「モグラハウスの扉」書き下ろしを含む全六編。直木賞の今村夏子さんで独特の…

『塔と重力』 上田 岳弘

阪神大震災で初恋の相手とともに倒壊したホテルに生き埋めとなり生還したのちも失われた彼女の記憶を抱えて生きる日々。大学の旧友との再会に歯車は動く・・。2つの短篇併録。『ニムロッド』に嵌り上田岳弘さんの別の作品が読みたくなって手に取った『塔と重…

『黒笑小説』  東野 圭吾

皮肉が効いたブラックユーモア満載の東野 圭吾の短編集。 それぞれの短編もユニークで すべて巨乳に見えるような「巨乳妄想症候群」やら ネット知り合いに会うために写真と実物の差を埋めようとする「奇跡の一枚」だったり 作家が賞レースの事情やら文壇事情…

『ライオンハート』  恩田 陸

17世紀のロンドン、19世紀のシェルブール、20世紀のパナマ、フロリダ。 時を越え、空間を越え、何度も出会う。男女の結末は・・。 苦難の時代を超えて出会うのは運命だろうか? 神の悪戯なのか? 出会いって不思議ですよね。 出会うべくして出会うものなのか…

『つまをめとらば』 青山文平

太平の世を生きる武家の男達の日常。 「ひともうらやむ」「つゆかせぎ」「乳付」「ひと夏」「逢対」「つまをめとらば」六篇を収録。 第154回直木賞受賞作。 武士と言えば戦国の乱世や幕末の動乱 立身出世を願う男や志の為に散る物語が多いけど この物語は太…

『流』 東山 彰良

大陸から台湾に渡った不死身の祖父が殺された。 台北で生きる17歳の青春は舞台を台湾、日本、大陸へ。 選考委員満場一致の第153回直木賞受賞作。 いや、これは面白い! 又吉さんの作品に隠れてたけど これはかなりの逸材ですね。 早速調べたら・・ こんなコ…

『窓の向こうのガーシュウィン』 宮下 奈都

ばらばらの父母、耳の雑音、同級生との関係も築けず育ってきた主人公 ヘルパーの仕事先で額装の仕事に出会いー。 人知れず心を守り、傷付かないように生きて来た日々 例えるならば小さな船が音もなく、どこかの港に物を運ぶような 確実に存在するけど目立た…

『謎の毒親』 姫野 カオルコ

体験談を投稿の形で進行する ”毒親”との関係を描く「相談小説」。 変わったカタチの小説でしたが すんなりと?受け入れる内容??でした。 自分の親ってちょっと変な所あるよなって 誰にでもあっりそうなことかも知れないけど その妙な生態が心に残ってたり…

『村上海賊の娘 下巻』 和田 竜

『村上海賊の娘 上巻』 和田 竜 http://blogs.yahoo.co.jp/gogo_yellow_bicycle/63634994.html 続きの下巻 織田方の猛攻、雑賀衆の奮闘から 毛利・村上の水軍もついに難波海で激突。 信長vs.本願寺と瀬戸内vs難波の海賊 木津川合戦 船で隊列を組み襲い掛か…

『村上海賊の娘 上巻』 和田 竜

信長に攻められる大坂本願寺。 毛利はどう動く? 海賊、村上武吉の娘の景は上乗りで難波へむかう船に・・。 度肝を抜く戦、木津川合戦へ 先日走った”しまなみ海道” http://blogs.yahoo.co.jp/gogo_yellow_bicycle/63626278.html ここが舞台で昔を感じて走る…

『イニシエーション・ラブ (ミステリー・リーグ)』 乾 くるみ

舞台は80年代。トレンディ恋愛ドラマ全盛期 たっくんとマユは合コンで知り合い・・・。 週末だけの長距離恋愛になってしまう・・・。 最後に分かる真実とはー。 映画化されてて ラスト驚愕とのコピーがどうも気になり原作を読んでみました。 こちらもコピー…

『メタモルフォシス』 羽田 圭介

SMクラブの女王様とのプレイ。 マゾヒズムの快楽に耽溺する男達の登場する二作を収める。 直木賞受賞以来、TV露出も増え気になって作品を読んでみました。 一作目の「メタモルフォシス」に登場する男の倒錯。 文体もリアルで私はマゾヒズムでないにしても感…

『儚い羊たちの祝宴』 米澤 穂信

お嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。 「バベルの会」に絡む五つの怪事件とは・・。 お嬢様のイメージとのギャップ 心の暗部とも言いましょうか・・ このエグさがより闇をより深くさせますね。 伝統的にそのジャンルはあるもので 屈折したり対照的…

『火星に住むつもりかい?』 伊坂 幸太郎

度を越した取り調べ。 暴走する公権力、正義のヒーローが立ち向かう! 恐ろしい世界、密告で別件逮捕で連行 捕まると無罪でも 危険人物とされた人間はギロチン送りへ 「平和警察」と言われる警察組織のやりたい放題。 こんな世界でも生きていかなくてはなら…

『誰かが足りない』 宮下奈都

評判のレストラン『ハライ』に予約を入れるそれぞれのお客さんを短編として描く それぞれのハライに行くまで抱えた事情とは・・。 初めて宮下奈都さんの作品を読んだのですが 他の作品も読み尽くしたい。 それぐらいの心地よさでした。 この物語は 偶然に10…

『水やりはいつも深夜だけど』 窪 美澄

窪 美澄さんの短編小説 隣に住んでそうな事情を抱えた家族の日常をエッジの効いた文章で描いた作品。 短編には植物の名前が付き 1.ちらめくポーチュラカ 2.サボテンの咆哮 3.ゲンノショウコ 4.砂のないテラリウム 5.かそけきサンカヨウ の5つの短編が収録さ…

『ナイルパーチの女子会』 柚木 麻子

大手商社につとめる栄利子と専業主婦の翔子はブログ繋がりにて交流することとなるが 二人の過去や心情から思いもよらぬ方向に展開する女同士の関係 第28回山本周五郎賞受賞、第153回直木三十五賞候補作品。 女同士の内側って凄まじい心情の嵐ってあるんです…

『もしもし下北沢』 よしもと ばなな

父を喪い一年後、下北沢に引っ越し、母の存在、父の友人の言葉、友人の存在。 再生と日々続いていく下北沢の暮らしでー。 最近読んでなかったけど 嘗ては何度も繰り返してたよしもとばななさんの作品 やっぱり、新しい作品もいいなぁー。 好きだなぁ~っての…

『遮光』 中村 文則

恋人の死を周囲に隠し、その幸福を語り続ける男。 行き場のないことに覆われた青春 野間文芸新人賞受賞作。第129回芥川賞候補作。 遣り切れないようなことに見舞われ 人が崩壊していく様。 それを狂気と片付けることは簡単かも知れないけど 誰もが悲しみに心…

『夢を売る男』 百田 尚樹

編集者・牛河原勘治、丸栄社には、本の出版を夢見る人間が集まってくる。 牛河原が彼らに持ちかけるジョイント・プレス方式とは――。 出版不況で雑誌が廃刊になり 小説も売れない世の中で ビジネスで夢を売る男とカモ達の自意識を斜めから見ると このやり取り…

『さようなら、オレンジ』 岩城けい   この国の豊かさをしみじみ感じる。

アフリカ難民サリマは働きつつ子どもを育てている。 英語の読み書きのままならない彼女は英語を学びはじめる。 そこで日本人女性「ハリネズミ」と出会い・・・。 メディアで話題になってて気になってた作品 Webで調べるとー数々の受賞してるんですね。 ちな…